響け!ユーフォニアム3、はじまる

いよいよ最終章に突入する、響け!ユーフォニアム、『響け♪ ユーフォニアム3』が、2024年4月7日 夕方5時から、NHK Eテレで始まる。
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やっと。ついに。待ちに待って待ち続けた。いよいよ。
そしてこれが最後の、響け!ユーフォニアム

TV放送前に原作の最終章を読み返したけれど、やっぱり面白い。

既にTV3期のあらすじや舞台挨拶の様子からも情報公開されているように、部内で起こる騒動に、部長の久美子がどんどん追い詰められて辛い状況になっていく。どうしようもなく行き詰ってから苦し紛れのような行動を起こしラストまでの展開がホントに熱すぎる。

刻々と過ぎ去っていく時間の中で、部活に向き合い友達と向き合い自分と向き合い、迷いを吹っ切り全国大会に臨む。全国までのカウントダウンのシーケンスにはこの上なく感情を揺さぶられた。特に、紆余曲折あった麗奈との最後のソリの練習のシーンは切な過ぎて涙が止まらなくなった。たった3年間の中でどれだけ部活に打ち込んだか、麗奈と支えあってきたかという何にも代えがたい思いが久美子の涙を通して痛いほど伝わる場面。このシーンがアニメ化されたとき、天才黒沢ともよ様の演技が宿ったこのシーンはどうなってしまうだろうか。想像しただけで目頭が熱くなる。

さて、放送日時が近づくにつれて、京都アニメーション公式からPVや色々な情報が公開されているし、盛り上げるイベントも数多い。Xで名場面の人気投票などがあり「どれも名場面で選べないよ!」という阿鼻叫喚が生まれていて面白かった。確かにどれか選べと言われても、うーーんと困ってしまうようなものであり(笑)。個人的に好きなのは、卒業するあすか先輩と分かれるシーン。あすか先輩のようなユーフォが吹きたいという久美子に父のノートを渡すあすか。「じゃ、またね!」後の余韻の中での「その曲の名前は、響け!ユーフォニアム」という暖かい展開。更に言うと、劇場版届けたいメロディの終わり方、土手であすかが響け!ユーフォニアムを吹くシーンに戻り、二人の笑い顔で終わるという流れの何と気持ちの良いことか。そして続くED曲のサウンドスケープの清々しさ。満足以外の何物でもない。ところで、人気投票の1位は、当然のように久美子があすか先輩を説得するシーン。もちろんそうだよね、と思う。ユーフォシリーズの中で一番グッとくるシーンである事に違いはない。ともよ様の本気がビンビン伝わってくる素晴らしいシーン。

3期に向けてPVが第2弾まで公開された。第2弾には今後の展開が惜しげもなく?含まれているように見えて中々興味深い。

TVアニメ『響け!ユーフォニアム3』PV第2弾 - YouTube
始まる!!
1,2話の先行上映@新宿ピカデリーに当たったので2話くらいまでは観たといえば観ているのだけど。紛れもなくユーフォが帰ってきたと言えよう。


TVアニメ『響け!ユーフォニアム3』PV第2弾 - YouTube
クセのあり過ぎる1年。ビジュアル化した彼女らを見ると、より一層活躍が楽しみだなぁ。


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さっちゃんに対するみっちゃんの優しい表情がとても微笑ましい。たった1年だけれど濃い時間が流れたのだという事がこのような表情だけからでも感じられる。


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緑と求の関係もジーンとくる部分。アニメでもしっかり表現されていれば良いな。優しくしっかり者の緑に弟子入り出来て求は良かったなと思う。


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色々言われているけど(笑)、真由もいい子なんだよね。ともよ様が先行上映会で真由はいい子なんだと庇うような様子を見せておられたのが印象的だった。オリジナル演出が光るアニメ版だが、真由がどう描写されていくのか楽しみ。


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麗奈のスパルタが炸裂して久美子の悩みの種も増えていく。さすが麗奈、立華のスパルタに負けてないぞ。


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今回の久美子を象徴する表情。見てるこっちの胃も痛くなる。


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例によって、走ってくれてますね。走ってナンボ、叫んでナンボなアニメ版。


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どのシーンだろう。気になる。。


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これは最後の「北宇治ファイトーー!!」かな。一番盛り上がるところだな。今回は自由曲が原作と同じタイトルになった。ストーリーとも関係あるからそうなったと思うが、相当な難曲の演奏シーンが楽しみだ。課題曲は原作と違うようだ。ねこふんじゃったのフレーズがちりばめられた楽しそうな曲を聴いてみたかったのだが、残念。

さて、直前放送が始まる。ブログ書いてる場合じゃない!

ブルージャイアント リバイバル上映

例によって記載途中で放置しすぎて2023年を越してしまった。2023年は良いアニメ映画がたくさんあって、次々に面白い作品で記憶が上書きされていき、年初に公開されたブルージャイアントは「あ、そんなものもあったな」という不利な位置づけ(^^;) 。10月下旬のリバイバル上映も、年末にかけての良作ラッシュでまた上書きされていき、、ということなのだけど、、このリバイバル上映は良かったな、という話。

CGの表現に難あり(個人の感想です)と感じられたアニメ版ブルージャイアントだったが、ブルーレイが発売されるにあたり約200シーンがブラッシュアップされたという話を聞いて、その内にわれらが立川シネマシティがリバイバル上映してくれるから楽しみにしていよう、と思った。ただそれは、他にも色々面白い映画が続々と上映されていく中、ブルージャイアントの事などとっくに忘れてしまった頃、半年だか1年後くらい先の事だろうと。でもそれは嬉しい誤算で、ブルーレイ発売とほぼ合わせてのリバイバル上映が公式主導で大々的におこなわれる流れになった。シネマシティでも当然(?)上映され、期間限定ということで都合付けにくかったけれど何とか参加できた。

どこがブラッシュアップされたのか、記憶力には自信がないので指摘は出来ないけれど、ずいぶん見やすくなったと感じた。

 初期版で特に気になっていたのはユキノリの手の動きで、記憶ではほとんどのシーンで手がヌルヌル動いて違和感があったイメージだが、新バージョンではあまり気にならなかった。見慣れてしまって気にならなくなった可能性はあるが、あの違和感に慣れるのかというとそうとも思えないので改善されているのだと思う。テクスチャの質感が少しアニメ調になったような気もして、そういう見た目で紛らわされているだけなのか、動きにも手が入れられているのか、分からないけれど。

 大の演奏シーンは、あまり違いを意識する事はなかった。元々寄りのシーンではそれほど違和感がなかったし、全身が写るくらいの画角になると、ヌルっと感が出てくるのは新バージョンでもそれほど変わっていないような気がする。

 玉田の場面も、遠めのシーンにヌル感が残っているのは同じ。ただ、寄りのシーンの迫力が凄い。特にラストのドラムソロはいい感じにアニメチックにスピード感を出してきていて、音と同期したテクニカルな動きと相まって非常にカッコいい。観ていてうなってしまった。旧バージョンとの比較は良く分からない。元からこんな感じだったような気もするけれど、今まで以上に心動かされたと思う。一点だけ、スピード感のないバスドラのビーターの動きを手直ししていれば完璧だったと思う。

 手直しされているとは言えCGに難癖をつけてしまうけれども、何度見ても面白いなと思う。特に自分にとっては玉田の活躍がツボ過ぎて大いに泣けてしまう。あの玉田推しのおじいさんとまさに同じように、きみの成長を楽しみにしている、という感じで、その悪戦苦闘の経緯も見ているものだから、涙なしにはいられない。Good Job!

新バージョン、観に行ってよかった。

ついにChatGPTを使ってみた

ChatGPTの話題がとても活発になって、多くの人が業務効率化のような話をしている。これを使って効率化しない奴は情弱のバカだと、直接は言わないにしても、ほとんど言ってるに等しいような世の中の論調になっているように見える。

2010年初頭に画像認識分野でAIが着目され始めて、それから数年後、猫も杓子もAI (Deep Learning)だと騒ぎだした頃に、業務でAIに少し関わった。ラズパイくらいのマイコンでいかに軽量に画認をするか、とか、そもそも大規模分野では太刀打ちできないので、自社のしょぼいプロセッサでエッジで軽い信号処理をするというような。OPENCV3が出たての頃で、tensoflowで簡単な学習モデルを書く程度の素人のお遊びレベルだったが。学生の時分、第二次AIブームが終わった頃には多層パーセプトロンのパラメータを手計算していたような気がするが、それの延長のような意識でDLの基礎をちょっとかじったものの、AI(ニューラルネットワーク)はあっという間に発展して、すぐに何をどうやったらそんな事ができるのか分からないような状態になった。転職して業務で触れる事もなくなり、興味はあるだけの状態になった。

ちょっと前に画像生成AIを少しいじった。思うような絵を出す事はできずすぐにやめた。今はアニメを綺麗に生成するような事に励んでいる人の成果を見ると、実用性はともかくその熱量には驚く。解説記事はもちろん理解できないので、何となく雰囲気だけを感じ取りながら、その成果を眺める。2つのシーンの間を埋めるコマを生成した動画は素人目にはぎこちないが、やってる事を考えると素晴らしい結果だと感じる。近いうちに実用化して一般的なツールに搭載されたりするのだろうと期待してしまう。

今は、表面上は、世の中、言語生成AIの話が中心になっているようだ。プロンプトというものを入力すると、明らかに自分よりは語彙が多く賢そうな文章が一瞬で出力される。どれほどの膨大な学習データが突っ込まれたのか考えると目まいがしそうだし、それにもまして、何らかの文章を理性的で筋の通った文章に変換する複雑なフィルターを、膨大なデータをもとに生成するアルゴリズムを生み出した研究者の頭脳には驚くばかりだ。そして、その中でも代表的なChatGPTがwebで誰でも利用できるという状態になってしばらく経つが、自分は実際に手を出した事はなかった。かつての画像生成のように、そう簡単には思うような結果を得られなさそうな雰囲気もあるし、やろうと思えばいつでもやれるだろうという謎の思い込みもあったのだけど、世間で言う所の効率化とはどのようなものか具体的に気になりだしたので、今更ながらChatGPTに登録して、3.5だが、ちょっと触ってみた。ついでに、BingがGPT4ベースでチャットできるようなので、そちらも使ってみた。

実際に何かやろうとすると、何をすれば良いのか、何ができるのか、良く分からない。世間的には、長い文章の要約や(他ツールと連携するならテキストのみならず音声からも)、学生が論文を書くような話もあるようだが、、論文??。データのフォーマットを整えたり、プログラムを生成するという話もある。そんなことどこまでできるのだろう。素人見込みでは、要約や翻訳のように明らからに短TAT化できそうなものもあれば、かえって手直しに時間が掛かる事もありそうな気がする。

ということで、いくつか試す案を考えた
 ①80年代レトロなアドベンチャーゲームの攻略を手伝ってもらう
 ②ブログでゲーム記事を書く際の叩き台を作成する手伝いをしてもらう
 ③Verilog言語の簡単なモジュールの設計とテストベンチ、仕様書を生成して頂く

①と②は、ちょっと使えないという感想。向いた使い方ではなさそうに思うが、そもそも話題が悪い可能性が大。使い方もうまくないだろうが。

③は、思った以上にまともな事ができて少し驚いた。まあ「思った」のハードル自体が低かったのはある。Verilog-HDL(ハードウェア:論理回路をソフト的に記述する言語の一種)などというものでこうであれば、もっと一般的なソフトウェア言語であれば随分まともな結果が得られるのだろう。ちょっと生成してそのままブラウザで動いた、みたいな話も誇張ではないのかも知れない。ただ、業務で使えるかというと、セキュリティ上業務データをwebに投入できないという点が一番のネックだろう。日本の大きな設計会社ならそうだろう。webに業務データ入力するような行為はセキュリティルールで禁止されている事はよくある話と思う。海外ではこの点どんな意識なのだろうか。ChatGPTに簡単なプロンプトを入力すると、モジュール記述がぱっと出力される。これは何を学習した結果なのだろうかと考えると、良く聞く「日本は設計検証の生産性が低い」というディスりに繋がる要因のひとつではあるだろうと邪推できる。とはいっても、差しさわりのない一般論に落とし込んでの生成物をうまく使いまわすなど工夫の余地はあるかも。自分が今所属する組織ではそれもできないが。昨今AIを活用して業務効率化の話は意識されつつあるだろうが、それが実現するためには、それなりのベンダーからツールとしてリリースされるのを待つ必要があるのだとすると、そんなものがいつリリースされるのだろう、という気はする。

つづく。

特別編・響け!ユーフォニアム ~アンサンブルコンテスト~

ちょうど1年前くらいに、ユーフォの続編情報についてブログを書いた。
mad-machine.hatenablog.com

この間、ブログで書いたように「もう1年経ったか」とあっという間でもあったし、長かったという気持ちもあるが、何にせよ、ついに、2023年8月4日、ユーフォが再始動した。待ちに待った。制作に関わられた関係者の方にありがとうと言いたい!!
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原作の短編エピソード「アンサンブルコンテスト」をアニメ化したもので、位置づけとしては劇場版・誓いのフィナーレ後のエピソードになる。優子・夏紀の代の3年生が引退し、2年生の久美子が部長になった北宇治吹奏楽部が、少人数編成のアンサンブルコンテストに出場するという話。

響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話
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原作を積んだまま読んでいなかったようで、観る前に読むかどうか迷った。
 読む、読まない、読む、読まない、・・・・、読まない!
しかし直前になって、やっぱり読もう、と思ったものの序盤ちょっとだけしか読めないう中途半端な状態で鑑賞。

どちらかと言うと巻き込まれ型で主体性がある訳ではなさそうに見えた久美子が、部の中で本当の意味での「相談所」に成長しようとする片鱗が感じられる気持ち良い作品だった。3年生編、原作でいうと最終章、の助走となるような内容で、2024年のTV3期がますます待ち遠しい。

コンテストに出場できるのは学校で1チーム。生徒同士でチームを組み、代表チームを部員自ら投票で決めるというオーディションがとられることになる。部内でのチーム編成に漏れてしまう者、自分の演奏に自信が無くて委縮してしまう者、部長になった久美子は、部内の色んな悩みに気を配ることが中心になりがちで、個人的にはチーム編成を巡って盟友の麗奈との関係で一喜一憂することになる。上級生としての立場を背負った久美子と麗奈の、お互いに一緒にやりたいけれど中々正面切って言い出せずに腹を探り合う様子からの、結局は同じ気持ちだったんだと分かって二人ではしゃぐシーンは、大きなほっこりポイントでとても微笑ましい。一方、あくまで実力主義一直線の麗奈を見て思う「自分よりうまい人が入ってきたら麗奈はどう動くのだろう」という疑問。直接チームを組むというイベントを通して改めて浮かび上がった、麗奈と釣り合う自分でいられるか、いたい、という久美子の中の不安がふと現れる。その不安は、葉月やさっちゃん、引いては夏紀のように自分より実力がある者を素直?に認められないだろうという後ろめたさのような感情と共に一旦蓋をすることになるが、二人が無邪気にはしゃぐことができるのはこれが最後なのかも知れないとも思わせるこのシーンには、ただ微笑ましいというだけではない複雑な気持ちを持たせられる。この流れが3期に対して繋がっていく。

本編終了後にTV新シーズンの告知があった。鳴り響く美しいユーフォのメロディー、誰?、銀色のユーフォ、一瞬の後ろ姿。ぞぞっときた(笑)。see you next spring。4月スタート、2024年春アニメだ。

※既に公式チェンネルで色々と公開済になっている。転校生の黒江真由。ふわっとしてかわいいビジュアルも公開されている。イメージはとてもいい感じで早く動いているところを見たい。声は誰が担当するだろうか。ちょっと想像つかないけれど、発表がたのしみだ。

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チーム練習の部分。
今回は、パーカッションのメンバーに焦点が当たって新鮮な感じだった。メインは釜屋つばめちゃん。丸メガネで髪の毛を横にツンツンさせてるあの子。久美子と同じ2年生で、麗奈にマリンバの技術を見込まれて勧誘されていたが気後れして断っていた。チームもなかで仲の良い葉月に説得されて合流したのはいいが、皆と合わせるのが苦手という弱みを持っていた。タイミングが先走り過ぎている!と語気強めの麗奈のスパルタ指導に委縮する一方のつばめを見かねた久美子は個別練習を提案。打楽器でもみんなと一緒に呼吸しなくちゃタイミングが掴めないよ、という久美子のアドバイスには、見てるこっちも「へーーっ、なるほど」と思ってしまった。

確かに頭だけでカウントするよりも、体を使って同期するのが理にかなっている。少人数でテンポの揺らぎもあまりないロックやポップスならまだどうにかなりがちかも知れないが、吹奏楽やクラシックの楽譜にはテンポに関する記号が色々あるというイメージがあるし、そういう部分が奇麗に合う/合わないは演奏の歯切れの良さ/悪さに現れてバンドの実力を物語る大きな要因になってしまうだろう。素人の自分には正直どこがズレているのか分からなかったりしたが(分かりやすいシーンもあるが)、演奏者からすると違和感があるのだろう。そういう問題を、相手をよく観察して適切なアドバイスができる黄前部長はさすがで、パーカッションのリーダー順菜ちゃんも手をこまねいていたのは、違う楽器からの視点をうまく導入できたこともあるだろうし、人にものを教える際の、自分では当たり前にできる事を相手ができない/気づいてないことに思い当れるかどうか。言うのは簡単だが実際の勉強や仕事の場面でも人に教えるのは難しいことで、久美子が単に上手いからというだけではなく、3年弱の間上手くなりたいと藻掻いてきた背景があってこそと思える。葉月に対するアドバイスもしかり、単なるその場の出来事というだけではなく、これまでの経緯とか人間関係のような背景と重ねて見れるところはこの作品の面白いところで、単純に長く続いているシリーズものの強みでもあるし、それ以上に、そうした積み重ねも含めて表現しようとする製作サイドの気持ちがこもっている。

このイベントをきっかけに段々と自信を付けていくつばめ。本番前に久美子と楽器を体育館に運ぶシーンが良かった。大きく重いマリンバを久美子の手助けを借りながら渡り廊下を運ぶ。段差のところは二人で慎重に運ぶ。段差を超えたとき、静かな口調の中に見えるつばめの前向きな気持ちへの切り替わり。その後体育館に向かって力強く、もう大丈夫だと言わんばかりに楽器を一人で押し始めるつばめと、その後ろ姿を一瞬見つめて嬉しく思う久美子。短かったアンサンブルコンテストの練習期間の二人の成長を象徴するシーン。泣きです、泣き。

久美子の指導力を見て自分の至らなさにショックを受ける麗奈もかわいらしかった。何だかんだ言って麗奈も久美子に一目置いているのだという関係性が良い。

ちなみに、マリンバの演奏シーンは素晴らしい。バチのスピード感と細かい動きが見事に表現されていて見とれてしまった。音響も臨場感があってほんと素晴らしい。鍵盤の下を潜るカメラワークは中から演奏を聴いているようで面白かった。

もう一人、井上順菜ちゃん。この人も2年生で打楽器のパートリーダー。その活躍ぶりはいつも拝見していた。そう、シンバルをジャーーンの人で1年生でコンクールメンバーの実力者。演奏シーンで定番のジャーーンの大写しはカッコよくて、気になっていたあの子、という感じなのだが、どういう人なのかはこれまでほとんど謎だった。何十年も遠い昔、隣のクラスで気になる人がいて、何かと目で追ってしまうような人がクラス替えで同じクラスになって話せました、という自分の経験を思い出した。リーダーのしっかり感を持ちつつ人当たりも良く、気後れするつばめをよくサポートした。ドラムセットを叩く姿も新鮮でカッコ良かった。今後の活躍にも期待してしまう。

一人だけ1年生の小日向夢ちゃんは、ほぼ出番はなかったのですが。TV3期で活躍してくれるのかな。

久美子達のチーム(チーム高坂?笑)は実力者揃いだったが、生徒主体の本オーディションでは選ばれなかったものの、一般受けは一番良かったという結果。できれば演奏シーンを見てみたかったけれど、今回の特別編では本番での演奏シーンはなかった(微笑ましい緑と求の演奏シーンのみ)。

世のレビューを見ていると、演奏シーンがなかったことで評価を下げている人がそれなりに居るようにみえる。個人的には、構成としては今回の形は割と好みだった。久美子とつばめのイントロが始まり演奏自体はBGMの形で流れる中、静止画ベースの全チームのメンバー紹介になる。吹部の部員は色々な資料では名前やパートの設定を知る事はできるのだが、今回3期を前にアニメの中で改めて誰にでも分かる形で紹介してくれるのは優しいと思った。あえていえば、穏やかなイントロの後に曲調がアップテンポに変わる。自分は最初勘違いしたのだがイントロまでしか流れずにチーム紹介が別曲で始まったように感じてしまった。冒頭だけでもチーム高坂の演奏シーンがあれば多少導入され易かったのかも知れない。

本シリーズの演奏シーンは、もちろんそれ自体もとても好きなのだが、ドラマを補強するようなイメージで観ている感が強い。色んな事を乗り越えてこの演奏をやってるんだなと感慨に浸りながら見ている。TV1期2期はストーリー的にも演奏を中心に北宇治吹奏楽部がまとまっていくという流れがあったので、時には部員同士で衝突しながらも、各種演奏会や、何度も何度も何度も何度も練習した三日月の舞で締めくくられるというのか最高の形だった。が、誓いのフィナーレから、誓いのフィナーレは尺の問題で表現し切れてないが、特に、今回のアンサンブルコンテストから顕著になったのは、上級生になった久美子の頑張りとそれを通してみた部員それぞれの葛藤話が中心になってくる。バランス的に演奏シーンとして今回の構成でも違和感はないし、何なら「あぁユーフォが帰ってきた!」と一瞬で思わせてくれたOPのOMENS OF LOVE を聴けただけで、最初の5分程度で、もう満足してしまった。

3年生編になると、久美子の部長としての大変さと個人としての大変さが加速していき、ますます合奏の視点がなくなっていくかも知れない。まとまった演奏シーンが少なくなるのではないかと想像している。個人的には本当に楽しみな新シリーズだが、もしかすると物足りないと残念に思う人もそれなりに居るのかな、と、ふと考えてしまった。とはいえ、大きな流れとしては全国大会金賞を狙うというストーリーがあり、その演奏がクライマックスになるわけで、劇的な曲をノーカットで演奏してくれるに違いない。3期の劇場版はないと思っているので、TV版でやり切って欲しい。


わずか60分足らずの作品だが、中身は濃かった。各シーンが印象的だが、書き切れない。ラストの4人で帰宅する夕焼けのシーン。変わらないようで強まった4人の絆、最後のコンクールに対する力強い決意、同時に残された短い時間に対する切なさを詰め込んだ日常描写の極致。そして、チェコまんを食べた時の麗奈の作画崩壊級の表情には笑った。最高です。

以上、アンサンブルコンテスト編は、ユーフォ最終章に向けて期待を裏切らない良作だった。満点!

キング&バルーン 紹介 (アーケードアーカイブス)

アーケードアーカイブスは株式会社ハムスターが80年、90年代のアーケードゲームの忠実再現を目指してPS4とSWITCH向けに開発・配信しているシリーズです。
www.hamster.co.jp

2023/7/20に、新しくキング&バルーンが配信されました。
キング&バルーンはナムコが1980年に発売したアーケードゲームです。

www.youtube.com

ギャラクシアンをアレンジしたような内容で、砲台を左右に移動して上空から飛来する気球を打って全滅させると1面クリアです。気球は降りてくると画面下をうろうろする王様をさらっていこうとするので、それを阻止するというのがギャラクシアンとは違う部分です。砲台は何度やられても復活するのですが、王様が画面の上まで連れ去られると1ミスになるというのも変わったシステムですね。

王様は気球にさらわれると「ヘルプ、ヘルプ」と喋ります。助けた時の「サンキュ~」、連れ去られた時の「バイバイ!」の音声とあわせて当時としては相当インパクトのある演出でした。40数年経った今でも完全に脳内再生が可能。そして、何となく不気味な気球の隊列の様子が小学低学年の私の脳裏に焼き付いており、個人的に特別な思い出ゲームの一つとなっています。

この懐かしいゲーム、アケアカの発表があるまではナムコのゲームとは思っていませんでした。当時良くあった人気ゲームのパクリゲーの一種かと思っていたのですが、れっきとしたナムコのゲームだったんですね、失礼しました(汗)。

PS4版を購入してみましたが、難しい。キャラバンモードで5分継続するのも大変です。敵弾が王様を助け難いような結構いやらしい弾道で飛んできて自機を追い詰めます。そして、面が進むにつれて気球もフワフワせずに一直線に攻め降りてきます。全然覚えてないのですが、当時小学生の自分は近所の温泉かデパートのゲームコーナーで親に100円もらってプレイしたと思いますが、1分くらいでやられて終わっていたんだろうなぁ、と微笑ましいを想像してしまいました。

5万点獲得のトロフィーが取れない。。

ブルージャイアント ブルーレイ発売

ブルージャイアント、アニメ映画版のブルーレイが10/18に発売される模様。

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ブルーレイ・スペシャルエディションと、DVDスタンダードエディションの2種類があるようだが、ブルーレイは12100円とかなり高価。ブルーレイのスタンダードエディションはなく、メディアがDVDになると。トリッキーさは感じる。

約200カットをブラッシュアップしたバージョンというのは気になる。あのCGが修正されていればという期待をしてしまうが、そんな根本的な部分をいじる事はないのだろう。内容によってはブルーレイ版を映画館で上映してくれたらまた観に行きたい気がする。

君たちはどう生きるか。の感想

宣伝0商法にまんまと引っかかって、7/24(金)に鑑賞。
直後に書いたが半月寝かせてしまった。

無骨な、エンターテインメント性のほぼない児童文学という感じのもの。お爺さんの宮崎駿が、戦時中に生きる少年の鬱屈した精神があの世に行ったりこの世に行ったり冒険する中で成長していく様を、淡々と地味でシンプルに描いたような作品。私のようなおっさんにとっては面白みも感じられず、一般ウケも悪くてすぐに失速して大コケするだろうと思ったが、刺さる人には刺さっているようで滑り出しは順調のようだ(ただ、半月経ってみれば、ロングランしそうな雰囲気ではないようだ)。

感想は、面白くはなかった。表面上は子供向けの児童文学でエンタメ性もなく、おっさん向けではない。ジブリに思い入れはなく どちらかというと苦手。事前情報があったら行ってなかっただろう。


以降、賛否両論のレビューで見かけがちな内容について、ダラダラと書いた。


映画レビューとしてwebで見られる評判としてよく見かけるものに、「良く分からない」「理解が難しい」というものが多いようだが、そもそも具体的にどこをどう分からなくて理解できないと言っているのかはぼやっとして良く分からない。特段の理解を要するようなものか?と不思議に思う。まずは、多少の不思議や意味不明なども含めてシンプルに捉えれば良いようなものではないかと思った。

〇〇の理由が語られない、〇〇が何を意味してるのか分からない、不思議の答えが分からないと居ても立っても居られない という感じなのだろうか。そういう人にとっては確かに辛いだろう。わざとらしくセリフで語られる事はないし、そもそも不思議についての説明はない。観ている人の想像の余地が大いにある。映画観てそんな事考えたくないという人にとっては低評価になりそうだ。でも、不思議の国のアリスを見て、あれは意味不明、これは矛盾だ、などと騒がないと思うけれど、それと同じことだろう。そして現実であなたの身近な人の起こす行動の本心も分からない(直接聞ける可能性はあるが)。映画なら分かる必要がある?

あとは、ストーリーとして起承転結がしっかりとしたエンターテインメント性を重視する人にも反感を持たれている様子はある。地味なイベントが連なりドラマチックな展開もない本作は受け入れがたい、手抜きだ、という理屈は分かる。
自分もどちらかというと、この部類に入るかも知れない。今のアニメ映画はシナリオや映像表現の質が凄く高まっており、どの映画を観ても(少し言い過ぎ)、ほんと感動的で面白いと思う。そうした今時のアニメと比べると最近のジブリ映画ってそんなに面白くないな、と常々思っている。ただ、内心、最近のアニメは洗練され過ぎてしまっているのだろうなとも何となく思っていて、この映画のようなエンタメに毒されていないような作品があるのは貴重なことだな良かったなと観ながら思った。

分かる/分からないの話としては、キャラに宮崎駿や関係者とその人生を投影するような観点もある。確かに、アニメで直接見せていない裏設定を考察する楽しみは大いにあるだろう。裏設定の考察の楽しさはエヴァンゲリオンの活気を思い出すし、作家自身との対比なんてことができるのは巨匠の持つ深みあってこそで素晴らしいことだ。一粒で二度おいしいというやつだろう。しかし、そういう考察ができないと楽しめない、というのは何か違う気がする。


児童文学だということ。単純に、大人が心から楽しめる訳もなく(楽しめる子供向け作品はもちろんある)。例えば終盤のお化けがたくさん出てくるような展開はいかにも子供向けだろう。君たちはどう生きるか?大のおとなに向かって問うようなことではない(宮崎駿からしたら殆どの客は子供のようなものだが)。

この映画は、子供を連れて行ってはいけない、ような言い方を見かける。本当か?「子供と行こうとしている人はクレヨンしんちゃんに行ってください」と、あるyoutuberは言った。それはエンタメを求める前提では正しいと思う。ただ、子供がフラットな心で、昭和の滅びつつある妙な精神性、妖精なのか人間なのか分からない婆や、胡散臭くて気持ち悪いアオサギと地に足のつかないようなあの世の冒険を体験するということは、エンターテインメント性が高まった高品質な作品があふれる中で、感動スイッチを気持ちよく押してくれる作品が当たり前になった中で、このような作品は宮崎駿にしか作れないだろうと考えると、詰まらないという思いとは別に、感じるところはあった。

宮崎駿がどういう気持ちで作ったか分からないが、子供に見てもらいたい気持ちは強いのではないか。自分だけの創作意欲を満足できればよかったのか?エヴァをリスペクトして考察好きな大人に向けた作品?しっくりは来ない。子供向けの作品を子供が観ることを阻害するようなミスリーディングは頂けないと思う。見た後に「?」となるだろうこと含めてまず子供が観る映画なのではないか。


まあしかし、やはりジブリ作品はつらい。感情移入する先もなく、変なオウムが沢山でるのを見てるのは辛い。寝てないつもりだったがSNSで記憶にない筋書きを見るに、終盤脳は死んでいたようだ。

主人公が階段上るシーンは動きはダイナミックで面白いが何だか大げさに感じてしまうし、妖怪のような7人の婆さんは見ていてきついし、アオサギが飛翔から水面に着地する一連のシーンは羽を仕舞う細かい仕草の表現など凄いと思ったのも束の間、あの声を聞いた瞬間失笑してしまうというか、あれ誰の声なんだろう?キムタクがダミ声出しているかと想像していたが萎えの極致(菅田将暉だった)。ナウシカのラストを形を変えて表現してきたであろうテーマにも、あまりそそられることもなく。

何でジブリを観た?と言われそう。自分でも今となっては不思議に思う。何で?

問題の宣伝0商法について。
何で観たか。ほとんど事前情報が無い中で、ここ最近見ていた漫画版ナウシカ未来少年コナンのアニメが面白かったものだから、宮崎駿の作品が気になってしまったこと。冒険活劇というワードに淡く重い期待をしまったこと。冷静に考えれば回帰などあろうはずもなく。

改めて考えるとこの商法はヒドいと思う。勝手に期待して勘違いしたのはあんたでしょ。と言われたら返す言葉もないけれど、それって詐欺師のセリフでそんなこと言わないと思ってますけど、普通に宣伝されていたら行かなかったと思う。この手法は不誠実と感じる。何も知らない状態でハズレる事すら受け入れて楽しむという余裕があれば良いのだけど、世知辛い理由から事前に見定めはしたい。本でも何でもタイトルだけでなく目次や粗筋をみて面白そうか見定めて買う。何も知らない方がワクワクが大きいと言うけれど、一理あるとは思うが、面白い作品なら予告や粗筋をみてもワクワクするし、なんなら原作で結末分かっている作品のアニメ化が今年一番の楽しみだ。そもそも事前情報が無かった事が、より多くの失望も生んでしまっている訳で、賛否が分かれている大きな原因だろう。どういうつもりの戦法だったのか本心を聞いてみたいが、多分言えないだろう「宣伝したら客が来なくなると思ったらから」とは。
かなり残念。

これが最後というのは寂しい。
次は面白いものを作って欲しい。ご年齢からすると短~中編がやっとかもしれない。自己表現はやり切ったということで、あとは子供向けのかわいらしいのとか作ればいいと思うんだけど無理なのかな。