ぼくのかんがえたアニメベスト3

 

リコリスリコイルの魅力や感想など】

2022年夏アニメのリコリスリコイルは、原作のないオリジナルアニメでありながら人気爆発状態にあるようだ。twitterのフォロー数が記録更新とか、海外でも人気ランキング1位だとか、前期のSPYxFAMILYの盛り上がりどころではない様子を見せている。かくいう自分も当初ノーマークだったが、2話までの好評判に興味を持ちdアニメストアの配信で視聴して結果ドはまりした。

 

自分のアニメの趣向は近年日常系の文学作品ぽいものがメインになっていて、異世界とか女子高生がドンパチしたり剣や魔法で戦うような作品が興味の対象から外れる傾向だ。しかし今オタク心を相当揺り動かされながらリコリスリコイルを毎週楽しみにしている。こういう気分はとても久しぶりだと思う。失った感受性を取り戻してくれたリコリコは素晴らしいアニメだ(笑)。

 

本作はキャラクターの魅力がほぼだろうと思っている。

主人公・錦木千束(にしきぎちさと)の大らかさと軽口から一転、ガン+格闘アクションシーンの表現がたいへんカッコ良くて見ていてワクワクする。不殺を貫きながらのアクションに見応えが宿っているだろう。殺傷能力がないペイント弾のようなものを発射するピストルが千束の武器で、命中精度が低い・威力が弱いというデメリットをカバーするために相手の至近距離まで接近して撃ち込む必要があるという設定だ。敵の銃弾をかわしつつ敵の懐に到達できる能力の正体は、相手のわずかな動きから発射のタイミングや弾道を読むことができる洞察力であり、通常の銃撃戦で相手の弾が当たる事はない。

千束の能力(能力と言っても魔法とか神秘的な力ではない)は、分かりやい例えを出すなら「リングにかけろ」の志那虎一城の"神技的ディフェンス"のような防御力だ。神技的ディフェンスは剣の達人でもある志那虎が最小限の見切り動作で相手のパンチを避ける技で、相手のパンチが顔をすり抜けるような表現がされる。一方千束のアクションは相手の銃弾を紙一重でかわすもので、敵弾が顔面を掠めて髪の毛を散らす様は何度も見返したくなるような良い動きだ。至近距離からペイント弾を敵の急所に連射しノックダウンさせていくのだが、志那虎で例えるなら神技的ディフェンスからのローリングサンダーもしくはスペシャローリングサンダーでフィニッシュ、ということだ。*1

トリッキーでスピード感があるアクションシーンが要所要所で発生し、手に汗を握る。

ここに、井上たきなというバディが加わる。本作の導入部で、任務中のスタンドプレーが原因で所属していた治安維持組織の本部から千束のいる支部の喫茶店へ左遷されてきた。受け入れがたいリストラを食らいクールでつっけんどんな態度を取っていたが、千束の実力や愛情に触れ心を開いていった。ツンデレと化したたきなも相当な引力を持っており、たきな推しという意見も目立つほどだ。二人の心温まる日常パートはそれはもうニヤニヤと笑いながら見る事ができるだろう。その他、魅力的なキャラが目白押しである。例えばハッカーのくるみちゃんはかわいカッコいい。何歳だキミは?と突っ込みたい。

アクションシーンと日常パートとのギャップ萌えが破壊力を持っているだろう。千束は口調や行動が軽いため見紛いそうになるが、頼りがいがあって愛情深く前向きな気持ちのいい性格をした人物だ。組織から追い出されて傷心のたきなを導き外の世界に居場所を作った。たきなはしっかりキャラで おバカな言動をする千束に突っ込む役割だが世間知らずでポンコツな一面を持つ。時折乱れるたきなの挙動が視聴者の心を鷲掴みにした事は言うまでもないだろう。仲良い千束とたきなの絡み、喫茶リコリコ(日常パートの中心地)メンバーの絡みが軽快で微笑ましい。

 

本作の魅力の核心は、千束が幼少期は殺人マシーンでもあった描写もあるが色々あって今では清々しい側に吹っ切れている点に感じる尊さにあると思っている。こういうキャラクターは割と珍しい印象だ。一時、千束の闇落ちという予想を良く見かけたことがあったが正直イメージがつかなかった。闇落ちくらいしないような単調なストーリーなら駄作認定するというような意見もよく見かけた。いやいやいや、闇落ちしないからこそ魅力的なのだと言える。そもそも闇落ちこそ今時のありきたり展開であり、そんな事になったら自分は逆に寂しく感じてしまっただろう。

 

キャラ重視で見れる人間からすると、このような視点で大いに楽しめている。オリジナルアニメという事もあるだろう、登場人物の描写に重点的に話数を使った。だから世界観の表現だとかクライマックスの事件に対して展開が早く、掘り下げ切れてない面も多々あるようには感じる。また、ラスボス真島さんの活躍周りで「えっ、そんなんでいいの?」と思う部分もあるが、破たんや矛盾している訳でもなく、目くじらを立てる程の事はないと感じる。ストーリー重視の人からすると物申したくなるというのも分からなくはないが。両方あればあるに越したことはないが。

 

長くなってしまったが、リコリスリコイルの感想が主題ではなく、以下、やっと主題に近づいていく。

 

【信者VSアンチにみる、作品を評価することに思うこと】

自分が好きで登録しているyoutubeチャンネルで、本作のある回の感想動画のコメントに、信者とアンチの醜い言い争いがあった。信者の言い分は、リコリスリコイルは俺のベスト3に入るほどの傑作であり、アンチの主張は、ツッコミどころだらけでありきたりなストーリー、キャラだけの駄作であるとのことだった。比較対象としてメイドインアビスの完成度を挙げている。アンチの主張にも大概な部分はあるが、この信者の主張はかなり醜いと感じた。主な2つの言い分は2点。

① 自分は今までxxxやzzzのような名作と言われるアニメを多く見ている。そしてそれらを評判どおり名作であると認識しているのだから、そんな自分が傑作と認定するリコリコは傑作である。

② リコリコが名作である事は売り上げが証明している。売れている事が正義だ

確かに駄作が売れる訳はなく、過去の名作を体験した上での審美眼はあると思うので一見リコリコが良作であるとの判定はさほど間違えていないようにも思えるが、①と②の判断基準はお互いに矛盾している面もあるだろう。信者はアンチが挙げたメイドインアビスを②を理由に所詮リコリコより格下だと断言した。グロいだけと。感覚的にはこのような判断を下す審美眼には胡散臭さを感じる。ならリコリコの良さも疑わしい。売れているけれど個人的に面白くない作品などいくらでもある。逆もある。そもそもリコリスリコイルとメイドインアビスは比較して優劣がつけられるようなものではないだろう。

 

岡田斗司夫がやっているように、作品の表現力のような技術面、シナリオの完成度、その他 素人にはよく分からない基準を設けて点数化し上下を付けるという事はできて一定の説得力もある。しかし、あるレビュアーの採点はそれを見て自分の趣味を認めてもらったというように受け取り一喜一憂するものではなく(してしまいがちだけど)、その人がこの点数を付けるという事は自分にとってその作品はどう感じられるだろうか、という形で参考にすることが正しい活用方法に違いない。そういう意味で前提をはっきりさせて点数化する岡田斗司夫の動画は非常に価値があって面白いものだと思う。自分の趣味をあたかも正義のように垂れ流す多くの動画とは一線を画している。

己の趣味を正義だと垂れ流すことすら個人の勝手という考えもあるが、そういう主張をするような人物は考えの違う者への人格攻撃や制作側に対する罵倒に走りがちと感じる。そういう行為は思いもよらない形で何らかの害を生み出しているに違いない。

 

【ぼくのかんがえたアニメベスト3】

もしアニメ作品に絶対評価を下せるとしたら、それは自分の中で、だろう。このありふれた信者vsアンチのやり取りを見ているなかで、信者の「自分のベスト3に入るほどの傑作」という部分が少し気になってしまった。自分もリコリコの信者であり、ここ最近のアニメの中ではトップクラスのハマり方をした。もしかしたら、自分にとってもトップ3くらいの位置づけになるかも知れない。本当か?軽く想像してみた。

 

揺るがないもの

1位 リズと青い鳥

2位 シンエヴァンゲリオン

シンエヴァを見た時順位が揺らいだ。今も優劣はつけにくい。オープニングから圧倒的な画のカッコよさは健在だったし、なにより第3村のシーケンスがとても感動した。真っ白になったシンジを温かく受け入れるかつてのクラスメート、シンジを見守るケンスケの穏やかさ。あの状態から立ち直るシンジの強さ。「なんでそんなに優しいんだよ」というセリフには声が漏れた。

3位 なんか決めれば決まるかも

4位 なんか決めれば決まるかも

突き詰めれば3、4位には何かタイトルを置けるだろう。でも今は思いつかない。

5位 特に好きで面白かったもの。同率5位が色々あるだろう

6位 普通に好きで面白いもの

 

自分の中でリコリコより面白い可能性があるものは何だろうか。整理できていないが多少思い浮かぶものはある。

最近ついに初代ガンダムを通して見た。これは相当面白かった。ただこの辺は比較するには大物過ぎるし古い作品で心の奥の地層みたいな存在。他と比べてランキングするには扱い難いのでちょっと除外したい。レイズナートップをねらえ、ナディア、銀河英雄伝説、などなど

リコリコの世界観の深堀りに対する不満は潜在的サイコパスと比べているかも知れないが一長一短ある。涼宮ハルヒの憂鬱SHIROBAKO凪のあすから、明日ちゃんのセーラー服、ああ、シュタインズ・ゲートは暫定3位にしても良いか。

などと考えると、リコリスリコイルは5位グループの候補になりそう。5位グループというとイマイチな言い方だが、相当好きなものが入る位置づけだ。思うに、好きのレベルを10段階くらいに細分化しないと表現できないような気がしてきた。

 

書きながら、響けユーフォニアムを忘れていた事に気づいた。これは3位だ。ん?しかし。例えば、全ての記憶を無くした自分が居たとして、リズ、エヴァ、ユーフォの内のどれか1つだけが見れるとしたら、ユーフォを取りたい。3期への期待も含んでいる。じゃあユーフォが1位なのでは?うーん、それもなんか違う。自分でもイマイチ頭の整理ができていないようだ。それほど好きなタイトルの順位付けをするのは難しいということだろう。多面的な思い入れがあるから一概には決められないのだろう。

評論家でもないし深く考えまい。

 

結局、こんな長文で何が言いたいのだろうという状況になってきたところで、タイトル回収すると、

「ぼくのかんがえたアニメベスト3」

1位 リズと青い鳥

2位 シンエヴァンゲリオン

3位 響けユーフォニアム

京アニ山田尚子というべきか)信者乙(笑)

 

以上。

 

*1:ところで少し脱線すると、リンかけの志那虎との類似点は書きながら気づいたものだが、リコリコにハマった事と無関係ではないかも知れない。リングにかけろ聖闘士星矢で有名な車田正美のボクシング漫画だ。少年ジャンプで連載していてボクシングブームを巻き起こしたほどの超人気作で、当時の小学生は誰もがリンかけごっこをしただろう。そこで人気だったのが主人公クラスの高嶺や剣崎らを差し置いて志那虎だ。いぶし銀という通り名で中学生なのにオッサンの様な風貌だが何といっても渋くて強いという魅力的なキャラだった。"ごっこ"では神技的ディフェンスで相手の攻撃をキャンセルしてからのスペシャローリングサンダー(0コンマ数秒の内に左腕一本で相手の5か所の急所を打ち抜く。しかしごっこではスローに5発打つ)で相手はKOとなる。中島君というSRTがうまい友達がいて志那虎役は大抵彼に取られる事になり内心羨ましかったという記憶がある。・・・上でも述べたようにアクションに共通点が感じられる。三つ子の魂百までと言うが、この熱い気持ちが無意識の内にリコリコの視聴に蘇ったという可能性は高いだろう。