アキバ冥途戦争1

なんじゃ、これは。。。

第一話を見終わって、このアニメをどう捉えれば良いのかかなり戸惑った。素直に面白いと思って良いのかどうかも分からん。ただ、心のざわつきが収まらない。

 

2022年秋の膨大なアニメ放送数の中から何が面白そうだろうかと見定める中で「アキバ冥途戦争」というタイトルがPA WORKSでなかったら、まず0話切りしていたと思う。メイドがキャッキャするアニメかなと。もしくは、ギャル役・黒沢ともよに引っかかったかも知れないし、後々話題になったとしたら どれどれと観てみたかも知れない。

PA WORKSの作品は「凪のあすから」に衝撃を受けて以来、何はともあれ録画予約するようにしている。配信が当たり前になった今になっても(ラグなくすぐ見れるように)。できれば高画質のモードで。自分がPA WORKSというブランドを意識したのが凪あすであって、自分のアニメ第?次ブームに火をつけた作品の一つがTARI TARIだったりと、ずっと身近でお世話になっている制作会社さんで、日常系の心温まるアニメが印象的でお仕事ものというジャンル(?)を多く手掛けている。最近では白い砂のアクアトーブは良いお仕事アニメで好きな作品だ。このアキバ冥途戦争も、華やかな表舞台の一方、裏では冥途を見るくらい大忙しでまるで戦争のような大変な職場で頑張るメイドさんの姿が描かれるような感じだろう思っていたのだが。。

 

第1話は、カオスそのもの。そもそも世界観が良く分からない。冒頭1985年メイド喫茶の店長が他店?のメイドに撃ち殺されるシーンで始まる。雰囲気はヤクザの親分が鉄砲玉のチンピラに襲撃されるようなイメージが重なる。時は流れて1999年、かわいいメイドに憧れてメイド喫茶「とんとことん」で住み込み(ん?住み込み??)で働くことになった 和平なごみちゃん。第1話前半は、同日入店した万年嵐子(は??35歳???)と共に慣れないお店の接客に悪戦苦闘する和やかなシーンが展開するが「おひねりちゃんの期限が過ぎている」と店長にショバ代(?)を要求するアキバファッションの男が現れてから裏舞台に突入していく。

取り立て屋の男曰く、弱小の豚小屋店がやっていけるのはケダモノランドの系列だからであり、分かってるならおひねりちゃんをひねり出せという。土下座で這いつくばり何かをひねり出す仕草をする店長。「出ませぇん」「出るよォ」。おいぉぃ、まさかひねり出しちゃうのか?冒頭からずっと背後に漂い続ける不穏な空気のせいもあり、本当にひねり出してしまうのではないかと気が気ではない。「あっ」と店長。まさか・・・。「でませぇぇん」さすがにひねり出さなかったので安堵。

取り立て屋は出せないならツュキツュキツキちゃんの件をなごみに対応させれば待つと言う。店長に頼まれ、嵐子と二人でお使いに出るなごみ。ライバル店に手紙を渡すだけの簡単な仕事で、まだ半人前な自分が少しでも役に立てると意気揚々と出掛けた。到着すると、いかにも穏やかでない店内に通される。そこは指詰めならぬツインテ詰めの儀式の真っただ中であった。何かやらかした制裁か、リーダーに自慢のツインテールの片方を切り落とされて泣き叫ぶ店員。その光景にたじろぎながらも手紙を渡したが、手紙の内容はライバル店に喧嘩を売る宣戦布告の内容だった。

 どうやら、ヤクザがメイド喫茶に置き換えられ血で血を洗う抗争を繰り広げているという世界観らしい(裏にヤクザがいる可能性もあるが、この置き換えたという構造が面白さだと思うのでそれはなかろう)。タイトルの「冥途」「戦争」で気付くべきだったか?いや、こんなの気づくかい!それにしても、なごみはこんな暴力沙汰が待っているとはつゆ知らず憧れのメイド店員になったようだ。一般人には感知できない裏の世界があるという設定なのだろうか。第2話で今回の抗争がニュースになっており、キャスターの口調からはメイドカフェ同士が抗争しているのは周知の事実のようだ。ただ、暫く起きていなかった抗争、と言っているので若いなごみが何も知らない事には一応筋は通っている。ここら辺の前提は今後色々分かってくるかも知れないが、今の所とらえどころのなさの一因になっている。親は止めなかったのか?後々疑問になってくるが、とんとことんの店員は逮捕されないのか?というのは今のところはスルーしておこう。

話は戻って、この制裁シーンもシチュエーションで笑う場面だと頭では分かるのだが、画面的にはギャグ色はなく、泣き叫ぶ店員、怒るリーダー、怯えるなごみは迫真の演技であり、笑えないけど笑うところなのか??と戸惑ってしまう。

続いて喧嘩を売られた敵メイドリーダーがなごみにガチのビンタ刑。バチン!と重いビンタの音。恐怖の表情を浮かべるなごみに見てる側の心もざわつくが、ここも、ギャグとして見てよいのか何なのか捉えどころがない。3発目のビンタから更にカオスへ展開する。嵐子がメイドリーダーに発砲。脳天直撃セガサターンで血がぴゅーーっと噴水の如くなごみに向かって吹き出る。何度も。どぴゅーーっと。ぴゅーーっと。なごみ呆然。用は済んだとトンずらを促す嵐子。しかし相手も待てコルァーと追いかけてくるので、応戦のドンパチが始まる。。嵐子が無双状態でピストルドンパンパンの血の池地獄になる。気の利いたことに、とんとことんで接客しているゆめち(二人の先輩メイド)がカラオケしているちょっとイカれた歌が嵐子のピストルのアクションと重なり、リズムに合わせてパンパン、歌がパンパン言えばピストルもパンパン、オタ芸の振り付けに乗せてパンパン。フィニッシュは命乞いしている相手に止めのパーーン。血の海の中で呆然自失のなごみ。視聴者、口あんぐりですよ。。。

事件後、放心状態で逃げ出さなくてはと決心するなごみだったが、嵐子が同部屋になり「逃げられない・・」と。気の小さいなごみにとってはホラー以外の何物でもないのだが、いや、監禁されてる訳ではないので逃げられるでしょと。何度も言うが、おそらくギャグシーンだと思うのだけど、ありがちな「引く」という表現ではなく、シリアスに怯える表現であり、素直に笑えない。。

 

ということで、第一話を視聴終えての感想が冒頭の「なんじゃ、これは。。。」になる。ただし、全体を通じてのイメージはギャグ調であり、三白眼の不甲斐ない店長が粗相をしでかし店員達が尻拭いでドタバタするという流れか。先輩店員のゆめちとしぃぽんもクセの強いキャラであり、特にギャル・しぃぽんのツッコミの一言がイチイチ笑える。

嵐子を中心に過激な無双シーンが展開し血の海のシーンになるのは正直見ていて気持ち良いものではなく若干ネガティブに感じつつも、全体としてはおバカなノリは好きだし、今後の展開もかなり気になってしまった。冒頭の過去回想における店長を射殺され怒りに震えるメイドがどうやら嵐子であり、過去と現代の繋がりにも想像を絶する展開が待っているのではないかと思わせる。全何話か分からないけれど、2クール構成でじっくり描いて欲しいと思う(*1)。

2,3話まで見れば雰囲気も分かってくるだろうから、引き続きチェックしていきたい。

 

最後に、1999年頃のアキバはどんな感じだっただろうか。アニメ関連だとカウボーイビバップのLDを買い求めに行っていた時期か。おひねりちゃん回収男のようないで立ちで石丸電器とかLAOXを巡ってLDとかアニソン・声優のCDを物色したり(*2)、デカい本屋をブラブラするのが好きだった。LDやCDを買うとポスターがもらえ、リュックにぶっ挿すという形になる。メイド喫茶はあったのかも知れないが良く分からない。ただ、メイドが路地でチラシを配っているような風景はなかったと思う。後年、ほとんどアキバに行かなくなった時に友人からビラ配りのメイド(かわいい)の写メをもらって「おぉ、これが噂のメイド喫茶」と感心した記憶がある。この辺はメイド喫茶が抗争する世界、というif の形を表現しているのだろう。1999年というといかにも世紀末で本作の雰囲気とも合う印象だ。199X年でも良かったのかも(笑)。

 

 

*1:公式HPを見ると、これは立派なお仕事アニメらしいことと、全12話構成という事が分かった。スタッフやキャストのコメントもはっちゃけていて笑ってしまった

*2:色々あるが、当時17才の井上喜久子さんの「お姉ちゃんといっしょ」とか、特に印象に残っている。調べると全集のCD-BOXが出ているらしい