響け!ユーフォニアム3 1話

「はじまりましたね」

1話は、いよいよ始まったことがひしひしと感じられる特別オープニング。
 SOUND! EUPHONIUM
のシンプルなタイトルロゴと久美子の歩く横姿、映画のオープニングっぽくて胸が高鳴る。

https://anime-eupho.com/img/movie/movie-thumbnail-discokid.webp
映像 | TVアニメ『響け!ユーフォニアム3』公式サイト


新入生歓迎期間の様子は、低音パートの新入生たちのクセの強さが、ビジュアル化してすさまじい事になっている。特にすずめのインパクトたるや、いかにもやらかしそうな雰囲気があふれ出ていてヒヤヒヤする。

クセの強さということでは、奏が、負けていない。久美子とのやり取りが面白過ぎる。

奏は誓いのフィナーレでの登場当初、誰にも物おじしない小悪魔的な性格の上に、過去のトラウマからくる警戒心によるところの辛辣さをもっていて、同じパートの先輩の夏紀や葉月に対し、表面的には丁寧な物言いながら内面不遜な態度をとるような、見ていて感情がざわざわするような曲者だった。久美子にとってはさぞ面倒な存在だったろう。全国メンバーのオーディションを通して夏紀とぶつかり本心をぶちまけたが、おそらくこの辺りから「大会メンバ選抜に対してフェアな北宇治、また、不本意な脱落者を出したくない」というスタイルを心に持ち始めた久美子によって自分が正当に受け入れられることを理解した奏は警戒心を解き、北宇治のメンバーとして打ち込んでいくことになる。

軍門に下り、久美子部長大好きモードに移行して変な毒が抜けた奏は続く中編「アンサンブルコンテスト」では、相変わらずクセが強く久美子を苦笑させるのだが、久美子にとってはかわいい後輩となっているようで微笑ましい。そして視聴者にとっても。ここで世紀の発明「ボクサー・奏」が誕生した。これは正に偉大な発明としか言いようがない。石原監督のインタビューがあって、

でも、こうして長いことやっていると、どのキャラクターにも情が移ってきて、久美子はまるで自分自身であるかのような気がしています。奏(かなで)とかは、やっぱりちょっと可愛く描きたいなとか思うんですよ。今回はそんなに重要な働きをするキャラではないんですが、彼女の動きはちょっと可愛くできたかなと思っているので、少し注目していただきたいところですね。愛着のあるキャラクターだと、ちょっと細かい芝居をつけたくなっちゃうんですよ。

kotocollege.jp
これが、シャドーの仕草を指している思うのだけど(おそらくそれだけを指しているのではない)、劇中で2度ほどシーンがあり、1回目はちょっとヘナチョコな動きなんだけど、後日の2回目は腰の入った美しい動きを見せてくれるところが芸が細かい。かわい過ぎですよ。これで視聴者はノックアウトされたに違いなく、劇場に幾度となく足を運ぶことになった。もっと言えば、京アニショップに、『「響け!ユーフォニアム」アンコン編 アニメーションフリップブック』、という商品がある。
kyoanishop.com
8カット分のアニメーションが収録されているのだけど、当然奏のパンチ動画も掲載されているので要チェックだ。スムーズにパラパラ動かすのは難しいけれど練習あるのみだ。

凄く逸れた。

ユーフォ3では、奏と久美子の関係が微笑ましさを増していて、漫才のようなやり取りが日常と化しており、まるでかつての優子と夏紀のやりとりのような状態になっていることが伺える。久美子が奏を可愛がっているだけでなく、部長になって手の届かないパート内の面倒を頼むようなシーンは時間の流れも感じられてちょっとほろっときてしまう。最高だったのが、1話の楽器紹介のシーン、麗奈の硬派なトランペット紹介に続いて、奏のユーフォの紹介。猫なで声と共に楽器の後ろからひょっと顔を出してなよなよした仕草で楽器紹介する、何じゃそれは(汗)と。久美子が口あんぐりで髪の毛がピョコン!と動くし、ぶちっとシーンが切り替わって希望者が3人だけ。「私のせいじゃないですよ」「誰も責めてないよぉん」というやり取りは爆笑ものだった。

最後は部の目標を決める緊張のシーン。2年前の葵ちゃんが去るシーンがフラッシュバックする。一人も欠けることなくと祈るように挙手の合図を出す。満場一致で目標が全国大会金賞に決まった。そして1期を思い出させる滝先生の
「北宇治高校吹奏楽部へようこそ!」
綺麗にスタートした。

、、と思ったら、場面変わって真由の登場シーン。予告で何度もみたあのシーンだ。演奏している真由が急に久美子に話しかけられてびっくりした時の「ブフォ」がおかしい。そして、ホラー調の「そして、次の曲が始まるのです」。ここに感情を乗せるというのも新しい。一見ギャグっぽくも聞こえるが、物語後半の久美子が言っているようにも聞こえて穏やかではいられない。

久しぶりのユーフォは、映像も最高に綺麗だし、笑いどころと緊張感のあるシーンのメリハリが効いていて体感5分で終わってしまった。